ニ、オランダ領事業 (アジャム園)

 

アジャム園所在地要図

アジャム園所在地要図

アジャム園オイルパーム搾油工場全景

アジャム園オイルパーム搾油工場全景

オイルパーム満4年樹果房採取

オイルパーム満4年樹果房採取

オイルパーム満6年樹

オイルパーム満6年樹

オイルパーム満8年樹

オイルパーム満8年樹

オイルパーム果房集採状況

オイルパーム果房集採状況

オイルパーム果房雄花及雌花

オイルパーム果房雄花及雌花

(一)概説

 当園はスマトラ東岸州の首都メダン市の東南方約400キロほぼ東経百度北緯二度半の地区に在る。俗にパネと言はれているラブアンビリク港から便船でニツバ椰子林立する間をブルモン河の濁流を遡航(そこう)すると約9キロで右手に一望の油椰子林アジャム園を見る事が出来る。メダン市の海港べラワンデリーからは隔日に、シンガポールからは毎週一回K.P.M.汽船会社の便船があってべラワンデリーから二日目、シンガポールから三日目に、又メダン市から自動車によれば即日当園に到着する。

 昭和6年当初オランダ政府より約6,000町歩の地権を得ていたが昭和8年都合により約2,500町歩を返還して現在は約3,500町歩となっているが昭和6年開墾に着手してより年々数百町歩あたかも開墾植付をなし昭和13年10月に全園の開墾植付を完了その総面積は3,,231町歩余で樹数は約50万本に達している。昭和12年より生産期に入りその後遂年生産面積も増大し昭和16年4月現在の果房採集面積は2,134町歩余となったが全園生産期に達するにはなお今後数年を要する。一方これが搾油工場も拡張中で昭和16年度は約7,500トンのパーム油を生産するがニ、三年内には年間約1万トンに達する見込みである。本事業地従業員は初代支配人梶田均氏の後を承けた現支配人宮地勝彦氏以下邦人職員15名内外に外人傭人(ようじん)数名を擁(よう)する他農園および工場使用人は爪哇人(じゃわじん)其他土人苦力(クーリー)総数一千名以上に達している。

(ニ)油椰子

油椰子は新興熱帯油脂作物でこれから搾取するパーム油は他油脂と比して生産費が低廉かつ競争力に富みその用途は極めて広く、従ってこれが栽培も有望であるが本事業は相当巨額の資本を要する関係もあり従来邦人のこれに着手するものは極めて少ない。当社は南方進出の一手段として新興産業たるこのオイルパーム栽培事業をあえて選定した次第である。

(イ)性状

 オイルパームは播種後苗床(びょうしょう)から育成床に移植され本植付後満3年で結実期に入り最盛生産期は15,6年間である。もっとも経済的寿命は末だ確められていないが30年位迄は収穫を続けられるものと言われている。果実は大体大雑把の様なもので色は赤味を帯びその中にパームカーネル(パーム仁)と称する堅い一個の種子がある。この果実が5,6百から多きは2,3千粒も集って宝珠(ほうじゅ)型となりこれを果房と称し一個15,6キロから大きいものは4,50キロもある。

(ロ)用途

 パームオイルの用途は石鹸、ローソクの原料、滑材等に使用され、良質なマーガリンに用いられ、特にパームオイルを原料とするマーガリンにはビタミンが多いのでこの方面の用途は極めて有望である。又パームオイルおよびパームカーネル油を原料とする石鹸は灌水その他一般硬水にも使用できる特性があり又泡立ちがよく織糸その他織物用石鹸として必要視されている。さらに鉄板に錫メッキをする為の錆止用として欠くべからざるものでありその他電気絶縁塗料航空機用潤滑油等として新用途開拓の余地は充分にある。パームカーネルを搾って出来るパームカーネル油の用途はマーガリン、石鹸原料、製菓材料、製薬および化粧品製造にもわたりその搾り粕(かす)は飼料に用いられる。勿論椰子油、綿実油、大豆油、亜麻仁油、オリーブ油等の植物性油脂および魚油、牛豚脂等の動物性油脂と共通の用途を有しこれに代用し得ることは言う迄もない。

(三)生産状況

 当園におけるパームオイルの製造工場は昭和12年5月独逸クルップ式による第一期搾油工場を峻工しただちに操業を開始した。当時の年搾油能力は1千トンであったが果房収穫高の逓増(ていぞう)に応じ順次工場能力を拡張する必要を生じ昭和13年第一次拡張をなし次いで翌年第二次拡張に着手し昭和15年に完了し約8千トンの生産能力を充実しさらに年産1万トンを目指して目下一部拡張と改善実施中である。

農園で成熟した果房は適時採集し構内敷設の軌条で工場に運び直ちに殺菌し、次いで数行程を経てパームオイルを製出する工場で生産されたパーム油は一旦園内の油槽に貯油しラブアンビリク港からブルモン河を園内桟橋迄遡航(そこう)して来るK.P.M.汽船会社の油槽船にポンプ積みしスマトラ島パーム油輸出港べラワンデリーの貯油タンクに輸送される。ここでスマトラパーム油輸出プールの手で他社のパーム油と共に本船に積込まれ欧米その他市場に向け売捌かれるのであるが今次欧州大戦勃発により欧州向けは殆んど杜絶するに至った。従て当社も生産品の処分難をすこぶる懸念したのであるが幸に近年上海、横浜等の東洋市場向け販路が開拓せられるに至った。

 終にアジャム園の地積、生産高をひょうじすれば左の通りである。

1.          開墾面積 3,539.7ヘクタール(1ヘクタールは日本の約一町歩)

1.          植付面積 3,231.7(オいルパーム樹数約50万本)

採集面積  2,134.0

未採集面積 1,097.7

1.          生産高

 年次            パーム油            パーム仁

昭和12年            519トン            なし

昭和13年            1,556トン            195トン

昭和14年            3,165トン            699トン

昭和15年            4,542トン            957トン

昭和16年            7,000トン            1,500トン

昭和17年            9,500トン            1,900トン

昭和18年            11,700トン            2,400トン