圖南産業株式會社

 

図南産業事業地所在図

図南産業事業地所在図

一、沿革

 当社の事業地は明治四十四年以来三菱製紙株式会社の前身合資会社三菱製紙所が竹パルプ製造の目的を以て開発したるに創まる。従って未だに台湾においても三菱台湾竹林事務所と言う方が広く知られている様である。昭和7年1月図南産業合資会社と改め台南州斗六郷斗六街に本部を置き引続き三菱製紙会社の支配下にあったが昭和11年11月1日当社がこれを買収しこれを株式会社に改組し図南産業株式会社と変更し資本金全額払込済60万円を以て従来の農林業の拡張に当たる事になった。現在の役職員総員30名雇員18名で役員は左の人々である。

取締役社長 坂本正治

常務取締役 相川貞吉

取締役(兼)支配人 小笠原義之

取締役 君塚慎

取締役 山口勝

監査役 鹿島良信

監査役 岡東浩

二、事業概説

図南産業柱竹林

図南産業柱竹林

図南産業松及広葉杉造林地

図南産業松及広葉杉造林地

 

本部と桐油工場は斗六街に在るが事業地は労水抗出張所付近を中心に南北へ広く台中台南の両州にまたがり総面積は約14,000町歩の山地帯集団地で清水渓がほぼその中央を北へ貫流している。台北から汽車で南下すると約6時間で斗六駅に着く。斗六駅付近の車窓から東方遥かに聳えて連なる山地帯が図南産業の事業地である。事業地の大半は竹林であって総面積8,200町歩におよび桂竹、蔴竹を主として孟宗竹、莿竹、長枝竹等滴る様な緑の美林が緩やかな勾配に延々と続いている眺望は内地ではみられない美観である。現在竹材としての年産額は約180万本以上に達しており筍(たけのこ)と共に主として地元民の生活の糧となっている。しかし竹材本位の事業は時局の要望する所ではないから竹材の利用更正方を研究する一方適地を選び竹を栽培してその跡地を開墾し畑地林地として大いに活用する事にした。即ち右土地にはキナ、油桐、杉、広葉杉、台湾桐、或は単寧用材等の植林をなすと共に可能なものは水田、一般畑作地として食糧増産を計りさらに適地にアッサム種紅茶栽培をも計画し既に着々その歩みを進めている。従来の造林地面積は約2,200町歩で主として油桐、松、杉、広葉杉、相思樹であるが相思樹は既に伐採期に入り竜眼と共に木炭用として売却しその他のものも適宜間伐等により一般に販売中である。この他特殊用材としてのチーク材、タガヤサン、単寧採取用としてワツトル、駆虫剤原料としてのデリス、薬用原料としてのキナ等有用植物も植栽している。又昨年度より時局柄資源開発の意味合いより事業地内の松を毎年1万本の切付けを行い松脂採取作業をもはじめている。

(イ)       桐油

 当社造林の首位を占めている油桐は支那種で植付面積は約1,000町歩時局産業に必須の塗料原料としてその需要は激増する一方で支那桐油の輸入杜絶の結果一躍して時代の寵児となった。元来当社の桐油は屈折率その他総ての規格において支那産を凌駕する優秀品であり、又その生産高も年により豊凶在るも子実約2,500石これを桐油として約11万斤に達するのであり本島内産額の約八割を占めている。なお今後漸次増産の予定である。

(ロ)コーヒー

 又従来永年にわたり試作研究中であったアラビカ種コーヒーの栽培は近年ようやく成育順調となり本年度は約200俵位の収穫を得たが今後は増産と調製法の改良により優良なる「国産コーヒー」を産出し得る域に達している。

(ハ)紅茶

 かねてより台湾中南部高地に生育可能とされて居たインド原産のアッサム種紅茶栽培方は当事業地においても早くより適地の踏襲を継続する傍ら日照、温度、雨量その他自然的条件を考慮研究中であったが相当面積にわたり栽培可能の結論を得たのでいよいよ紅茶業進出を開始したのである。このアッサム種は従来北部地方で栽培中のダージリン種に比し香気高く品質優秀なるもので当社は総督府ならびに関係当局の斡旋により近年植付を開始したもので遠からず工場建設の予定である。