東山農事株式會社

 

東山農事株式会社本社

沿革と概説

 当社は岩崎久彌男爵の経営に係るものであって、東山という名称の由来は岩崎家当主先代彌太郎氏の雅名(がめい)より出たものである。古く朝鮮の東山農場、北海道の拓北農場、本場および三菱合資会社新潟事務所の業務を継承して資本金500万円を以ってここに東山農事株式会社を設立し大正8年11月1日営業を開始したのである。爾来農業、林業および牧畜を主要目的として東京丸の内に本社を置き、朝鮮と新潟にそれぞれ支店を設け拓北農場を浅茅野出張所と改称すると共に岩崎家所有の小岩井農場と末広農場の委託経営にも当たる事になった。その後事業の発展に伴い大正9年には資本金を1,000万円に増資したが都合により大正15年北海道の土地を売却して浅茅野出張所を廃し、さらに新潟の水田も年々小作人に解放して昭和10年には新潟支店も閉鎖した。しかし翌昭和11年11月には従来三菱製紙株式会社の経営していた台湾の図南産業を買収して隷下に入れ経営を始めたのである。その後前記小岩井農場は昭和13年4月1日これを株式会社に改組し小岩井農牧株式会社を設立したが、依然同社の経営は当社で代行する事になっている。次いで昭和15年には朝鮮江原道に土地を買収し城山農業株式会社を設立しこれをも当社の傘下に収めたのである。

 また岩崎家庭事務所は昭和2年以来海外に進出する事となり南米ブラジルにおいて商工業を営むカーザ東山リミターダおよび農牧業を営む、ファーゼンダ、モンテデステ、リミターダの経営を始め、さらに昭和4年にはオランダ領スマトラに東山栽培株式会社を設立して、昭和6年よりアジャム園の開発に着手したのであるがさらに昭和15年12月1日愛久澤直哉氏経営に係るマレー半島におけるゴム栽培事業会社コンソリデーテッド三五公司リミツテツドを移管経営する事になった。これらの吾社経営に係る海外諸事業は年と共に発展し、その基礎もまた強固となり我国の海外事業発展に資する所尠(すくな)からざるものがある。

 かくして当社は創業当時より昭和2年まで専務取締役として桐島像一氏が在任したがその後は坂本正治氏が受け継いで現に取締役会長として今日におよんでいる。この間時勢の移り変わり各般事業の進展に伴い数次の職制および社規の改正を経て現在本社では総務部、技術部、経理部に分かれそれぞれ業務を分掌しており役職員の総数は約60名である。

取締役会長(兼)専務取締役 坂本正治

常務取締役 相川貞吉

常務取締役 君塚慎

取締役 岩崎隆彌

取締役 徳弘国太郎

監査役 深井三男

監査役 前田幸太郎

顧問 斉藤延

総務部長 鹿島良信

同副長 本山千里

技術部長 高木三郎

経理部長 岡東浩

三五公司総支配人 小泉哲一郎

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